Jon Andersonっていうのもやっぱり大好きなアーティストの一人なんだけど、 Vangelisとは違った意味でちょっと困った人です。とにかくこれはいいっていうソロアルバムがないんです。ひょこひょこ新作をリリースするんですけど、正直どれもかなりお手軽な感じがします。まぁそれでも'82年に出したこの3作目「ANIMATION」は、YESをやめて真剣にやろうっていう意気込みが伝わってきて、大好きな1枚です。
参加メンバーはデイヴ・サンシャス(元グリーンスレイド)、クレム・クレムソン(元ハンブルパイ)、サイモン・フィリップス等、さらにジャック・ブルースやデイヴ・ローソン、イアン・ウォーレスらの名前も見えてマニアにはこたえられません。サウンドの方はライナーにも書いてある通り、70年後期のイエスサウンドをさらにラフにしてエイジアっぽい味付けにした、まぁ当時流行になろうとした物だと思います。このアルバムからちょっとラテンっぽかったり、カリプソ調になったりと、その後20年近く続く、ブリティッシュのくせにかなりエスニックっぽい流れにはまっていくJonの姿が見えます。B面2曲目の「Boundaries」は'97年のYESのアルバム「OPEN YOUR EYES」の10曲目「Somehow...Someday」の元歌にもなってますし、同じく'97年に出たJonのソロアルバム「THE PROMISE RING」にも「O'er」という別歌詞、別アレンジの曲の元になってます。それにしてもJonの音楽性の幅の広いこと、さっき云ったエスニックばかりでなく、オーケストラと共演してクラシックっぽいアルバムを出したり、フォーク・カントリーそのものだったり、はたまたLAのミュージシャンが大挙参加した「IN THE CITY OF ANGELS」('88)のように無茶苦茶POPだったり、勿論ストレートなロックアルバムもあるし、最近はヒーリングミュージックにも御執心。多様性というよりはTrevor Rabinが言うように、まるっきり宇宙人みたいな人ですね。
そんな訳でこれ以外にあんまりお薦めできる作品もないのですが、とりあえずソロ作2つを入れときます。他にはYESの中ではJonのボーカルが美しいといった意味で「GOING FOR THE ONE」 ('77)が好きです。私は「危機」と「こわれもの」以外ではこの「究極」とバグルス参加の「ドラマ」が好きという変わった人間ですから。あとほとんどJonのソロといっていい「A.B.W.H」 ('89)。変わったところでは共にシングルですが、Mike Oldfieldと共演した「Shine」('86)、「In High Places」は「CRISIS」に入っていますが、この「Shine」はシングルのみでMikeのアルバムには入っていません(Videoにはある)。それからJon & VangelisならぬJon &喜多郎の「アイランド・オブ・ライフ/レディ・オブ・ドリームス」('92)は、映画「15少女漂流記」の主題歌。同年の喜多郎のアルバム「LADY OF DREAMS」にもロングヴァージョンが収められています。ジョンヴァンに比べて、やっぱかなりウェットかな。その他TOTOやKing Crimson、David Foster、John Paul Jonesなどなど、いろんな人のアルバムに参加してた方が結構面白かったりしたりして。