←戻る

YAMAHA XZ400D ('85)

 最初のバイクGPz250がダメになって次のバイクは、とりあえずツーリングのできる400ccにしようと決めていました。候補はいくつかあって、皮ツナギもウィンドブレーカーもブーツまでライムグリーンだし、やっぱり次もKawasakiでしょ、ってなわけでGPz400Fのライムグリーンがあったり(今でもこれは欲しい)、当時大人気だったGPz400Rのチームグリーン仕様、中古車でかなり程度の良いのがあったローソンレプリカ風Z400GPのライムグリーンと、とにかくライムグリーンしか頭にありませんでした。すでに就職はしていましたが、限定解除も欲しかったのでそんなに高いものはやっぱり買えない、でも中古はやっぱりちょっと不安。そんな時、とあるバイク屋でXZの新古車が安くあるらしいと聞いてさっそくチェック。当時XZはすでに生産中止されていて、さして人気もなく、バイクショップの片隅にホコリをかぶっているような状態でしたが、登場当初はその先進的なメカニズムとスタイルで、かなり注目を集めたバイクではありました。特に後に登場したフルカウルのDは、とても400とは思えないボリューム感とクルーザーを思わせる上品なスタイルがとても好きでした。でもいかんせん新車では高かった(57万円)。でも未使用のそれがなんと20万円引き、おまけに諸費用まで半額サービスではありませんか!一も二もなくやはり即決。カラーは、ほんとは青が良かったけど赤しかなかった。ボロのGPzの下取りと合わせると、とってもお買得な買い物でしたよ。

 はっきりいってこのXZ400Dはほんとに今でも乗りたいバイクです。何台も乗った中で、私がもっとも好きになったバイクです。何がいいって言葉で説明するのは難しい。初めて乗った時のイメージは、とにかくでかい、重たい、GPzのように軽やかに曲がってくれない、燃費は悪い(リッター20kmくらい)、ネガな部分しか目に付きませんでした。低速トルクは確かに太くて、ドコドコした感じは「それも個性なのかなぁ」とも思っていました。それにしてもVTと同じVツインDOHC8バルブにしては高回転の伸びが悪い。当時の雑誌にも同じような評価が載っていたのですが、とにかくちょっといじくってみよう、と3ヵ月くらいかけてメインジェットを替えたりジェットニードルをセッティングしなおしたりしてみました(そうあの大変なダウンドラフトキャブ)。混合比を薄めにしてやると、低速トルクはやや減りましたが高回転までとてもスムーズに回るようになり、もちろん燃費も2〜3km/P位向上、ピックアップもかなり良くなりほんとに見違えるようになりました。マフラーは変えてなかったのですが、カタログ上の馬力では上のEX-4よりパワフルで、よりスムーズに吹き上がります。足回りは、この車重に対してフレームがやわでスホーツライディングはきつそうにみえますが、基本的にはかなり素直で、実際こいつでワインディングに走りにいって、レプリカより速いとはいえないけど相手によっては充分対等にわたり合っていました。フロントには市販のスタビライザーを付けて剛性を上げ、リアのスプリングは上から3くらいに締め上げてたかな。シャフトのくせはまったくなし、メンテナンスフリーで安心。ただしフロントのWディスクの利きは並の下、知らない人には「壊れてる」といわれましたが、ちゃんと深くまで握ればなんとか普通に効いたけどなぁ? 例のトレーリングアスクルのせいもあって、慣れれば小回りもそうは苦になりません。
 とにかくツーリング、特に秋から冬にかけての寒い時期にはこのXZは最高でしたね。ポジションはやや前傾がきつく、当初は長距離を走ると腕が痛くなったんですが、座る位置を前目にしてやるとそれもなくなりました。大きなスクリーンのおかげで高速道路でも楽々、最高速度の170km/h付近でもそんなに体を臥せる必要もなく、またその速度域でも横風の影響もなく安定していました。雑誌に書いてある程振動も気にならず、まさに中免では最高のハイウェイクルーザーです。サイドカウルにあるフィンはエンジンの熱を足下におくり、冬のツーリングにはとてもありがたいのですが、夏の暑い時は走行風がくるようになってはいてもやっぱり暑い。ですから夏は3ピースのカウルは、アッパーのみにしておいて下は外していましたね。タイヤは主にフロントはダンロップのTT100GP、リアはTT100のノーマル。リアにグリップ力のあるタイヤを履かせるとフレームが弱いのでバランスが悪い。ウェット性能にやや難がありますが、私にとってはこれがベストマッチングでした。
 ごく普通の道を50km/hくらいで自動車の後を走るっていうのは、モーターサイクルにとってあんまり楽しいものではないのですが、XZはそんな普通の走りでも何となく楽しくなる、そんな魅力を持っていました。誰もがそうなるとは言えないけど、でもとにかく自分にジャストフィットするバイクや車ってあると思います。私にとってはこのXZ400Dがそれです。ハザードをつけたり、イエローバルブにしたり足回りもいろいろと手をいれたりして、一番愛着が湧いたのかもしれませんが、とにかく最も惚れ込んだ女ってところですね。
 結局、75,000km位走ってオイル下がりの症状がひどくなり、最後の頃には1年の2/3も乗れなくなってしまい、手放してしまいました。いろいろ探しても、すでに程度のいいものが見つからず、それ以来見かける事も稀になってしまったバイクです。限定解除を持ってたら、550でも手に入れる事ができたかもしれませんが。ぜひもう一度昔の恋人に会いたい・・・。


戻る