- Vangelisっていうのは私の最も好きなアーティストの一人なんですけど、それゆえこの1枚っていうのが選びずらい。勿論最初に聞いた「HEAVEN AND HELL」('75)もいいし、「L'APOCALYPSE
DES ANIMAUX」('73)をはじめとするFrederic RossifのTVフィルムの野生3部作サントラはどれも傑作、中期ではなんといっても「CHINA」('79)がイイ、最新の「EL GRECO」('98)は「AMAROK」のVan版みたいだし・・・。で、まぁ比較的新しい方の作品で良く聞くのが「VOICES」なんで。
- Vangelisっていうと、一般には「炎のランナー」、「ブレードランナー」、「南極物語」、「1492コロンブス」といった映画のサウンドトラックでしか知らない人が多いっていうイメージだけど、なんのなんのインターネットで探すとカリスマ的に人気のある人ですねぇ。Rick
Wakemanあたりと比べるとけっしてテクニックのみに走らず、そのメロディラインの美しさ、音色のすばらしい緊張感、時折使われるパーカッションも見事と、もう大絶賛です。Vanの音っていうと私にとってはやっぱアナログシンセ、そして勿論プロフィット5やミニムーグとかも使ってるけど、何といってもYAMAHA
CS-80のあのブ厚くしかも繊細な音色でしょう。昔からKORGファンだった私でもCSだけは欲しくなった(といっても貧乏人にはとても手が出なかったけど)。
- '87年の「DIRECT」以降は、それまでの大作っぽいつくりより小作品集のようなアルバムが多いのですが、この「VOICES」もその流れでしょう。タイトルからわかる通り人の声をテーマにしていますが、とにかく美しい。まさにVangelisの面目躍如、90年代を代表する作品だと思います。ただ人に薦めるにしてはちょっと暗いアルバムですね。だから誰かにCDをプレゼントする時は、ベスト盤の「PORTRAITS」('96)の方にしています。それ以外では、80年代以前ではソロ作よりサントラ盤の方が一般には聞きやすいと思います。その中でもお薦めなのは前出のFrederic
Rossifの野生3部作のサントラと、'94年にやっと出た「BLADE
RUNNER」のサントラ。特に後者は自分がリドリー・スコット監督のファンということもあってかなり気に入っています。対して大作指向の頃のソロ作はかなり実験的な面が強く、中には思いっきり失敗しているものもあると思います。そんな中でも同じく前出の「CHINA」の特に前半は物凄く雄大で(どっちかっていうとチャイニーズっていうよりジャパネスクって感じだけど)聞いてみる価値大です。
- ここでよく比較されるフランスのシンセサイザー奏者Jean Michel Jarreも紹介しましょう(一緒にするなっていう方も多いでしょうが)。はっきりいってVanとは全然違います。同じシンセでもTKと姫神くらい違います(そこまでは違わないか・・・)。Jarreは外国のCD屋ではNEW AGEの棚に入ってることが多いんですが、日本の輸入店ではほとんどテクノの棚にありますね。確かにクラブなんかでかかってても不思議じゃない音もあるし、実際Apollo440やTKらのリミックス盤も出てますけど、この人はれっきとしたプログレッシブ・ロック(っていうよりタンジェリン・ドリームやカン、クラウス・シュルツといったユーロ・ロック)の流れをくんでます。ミニマルっぽいところもあって、そういった意味では現代音楽にも近いんですが、メロディーはやっぱりきれいで聞きやすいと思います。日本ではVanに比べて今一つ盛り上がらないのは何ででしょ。 Jarreを代表する音はまたまた個人的だけどやっぱりARPだと思います。Vanが雄大で自然を感じさせるのに対して、Jarreはもっと都会的(Urban)で洗練されてますね。とりあえず代表的な3枚を下に上げときます。
|