- ご存知(かどうか・・)元YESの看板キーボディストRick Wakeman。意外にも(?)彼はかなり多作で次から次へと新作・旧作がリリースされています。ただやっぱり佳作とどうでもいい作品とはっきり分かれる人ですね。その内この「1984」(日本では「デカダンス1984」だって)は個人的には彼のベストアルバムだと思っています。まず曲がしっかりしているし、アレンジも秀逸、歌詞もあの「ジーザス・クライスト・スーパースター」のTim
Rice(若い人には「エビータ」や「ライオン・キング」の方が有名か)だし、勿論RWお得意のキーボードテクニックも楽しめる。そして何より他のRWのアルバムと一線を画してるのは、Chaka
Khan、Jon Andersonといったボーカリストがいいから。私は高原のリゾートなんかで似合うような音楽が好きなんだけど、この「1984」はヴァンゲリスの一連の作品に負けず劣らずトリップ(古い言い方だ)させてくれます。
- タイトルから分かる通りジョージ・オーウェルの同名のSF小説からインスパイアされた作品ですが、そんなこと全然関係なしに聴いた方が面白いと思います。'81年ということで当然ハモンド+アナログシンセの音なんですけど、私にとってRWの音っていうのは、やっぱりミニムーグやポリムーグのミビョ〜ンっていう、ムーグにしては妙に明るいのがイメージにあるので、この年代位までの作品が実はよかったりして。正直デシタルになってからの、あまり考えてないような音は好きじゃない。それでも「COUNTRY AIRS」のようなアコースティックのニューエイジものは、(例によって弾き過ぎてはいるけど)意外と認めてはいます。
- 「1984」の前後に出した「ROCK'N ROLL
PROPHET」('82)は当時流行ってたASIAあたりを真似た駄作、 '83年の「COST OF
LiViNG」はインストものは凄くいいけどヴォーカルものが全然ダメ。RWのアルバムを30枚以上持っている私でも80年代以降はほとんど棚にしまったままって感じ。あとRWでお薦めなのは最初の「ヘンリー八世と6人の妻」('73)と'76年インスブルック冬季オリンピックのサントラ「WHITE ROCK」('77)、前出の「COUNTRY
AIRS」('86)、もうひとつ「A SUITE OF GODS」('88)、んなとこかな。全英No.1になった「地底探検」('74)はオーケストラと一緒ってことで個人的にはあまり好きではありません。まぁとにかく「1984」以外はボーカルものを捨てて、インストものを選んだ方が間違いのないRick
Wakemanです。
- もひとつマニアックな話、80年代以降RWのバンドでベースを主にやっているのが元アランパーソンズプロジェクトのB/VoだったDavid
Patonですが、彼は元々「パイロット」というグループ(「JANUARY」っていうNo.1ヒットがある)のメンバーであることは結構知られています。が、実はごく初期('69年頃)のあの「ベイ・シティ・ローラーズ」のメンバーだったそうです。
A.B.W.Hが出来た時ベーシストの座をクリムゾンのTony Levinと争った(って程のことかなぁ)彼ですが、のちのちにローラーズに加入するDuncan
Faureは9012イエスの中心人物Trevor Rabinと「ラビット」っていうグループやってて、Trevorのソロやボーナムのアルバムなんかにも参加してる、BCRって結構イエス繋がりがあるんだな(デビューアルバムを見るとLongmuir兄弟はイエスのファンだそうだ)、っていうよりイエスのその人脈の複雑さに今さらながらに驚く私です。
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